「伝説の名投資家12人に学ぶ儲けの鉄則」から盛大にネタバレしない程度で、中身を紹介していきます。
今回は、ピーター・リンチに学ぶ「身近にある10倍株」の探し方です。
ピーター・リンチってどんな人?
ピーター・リンチは1980年代に最も活躍したといわれるファンドマネージャです。
1977年から1990年まで13年間運用した「マゼランファンド」の時価総額は、約0.2億ドルから約100億ドル(500倍)まで成長しました。この13年間平均すると年率30%の成長率になります。リンチは毎年安定した高い利回りを続けました。圧倒的な成績を収めた年はありませんでしたが、大きく落ち込む年もありませんでした。
リンチは10歳の時に父親をガンで亡くし、苦しい経済環境の中で育ちました。バイトをしてお金を稼ぎながら大学、ビジネススクールに通い、卒業後は投資信託会社のフィデリティに入社します。そこで数年アナリストの仕事をした後、33歳で「マゼランファンド」の運用を始めます。
リンチは、絶頂期だった1990年(46歳)の時に、ファンドマネージャーを引退します。運用資産が大きくなるとともに仕事量が増えて、ほとんど休みなく働き続けることになります。それは、家族と過ごす時間を何よりも大切にしていた彼にとっては辛いことでした。リンチは大好きな「株式投資」と「家族の生活」の2つを天秤にかけ、最終的には「家族」を選択しました。
リンチは、優秀な投資家である一方、セミリタイア・アーリーリタイアも実現しています。(まさしくタローの目指す姿です!!)
日常生活の中から10倍株を探す
リンチは「家族との生活を大事にしていた」事もあり、「日常生活の中から10倍株を探す」事を得意としていました。実際は10倍以上になっているものあります。
リンチは著書の中で、次のような「大化け株」の事例紹介しています。
ダンキン・ドーナツ(ドーナツ屋)25倍
ウォールマート(スーパー) 1000倍
マクドナルド(ハンバーガー屋) 400倍
ホームデポ(ホームセンター) 260倍
ボディショップ(アロマオイル専門店) 70倍
サービス・コーポレーション(葬儀屋) 40倍
GAP(カジュアルウェア店) 25倍
その他にも、おもちゃ屋、理容室、ホテルなど様々な10倍株事例があります。奥さんや娘さんが最近気に入っている洋服、飲み物、お店などをチェックしたり、家族とショッピングモールに出かけたりし、そこで投資のヒントを得ていました。
リンチは特に外食チェーンと小売業の持つ長期的な成長率に注目していました。
「高い運営能力を持っている外食や小売りのチェーン店は、全国展開により年20%のペースで10~15年成長可能」とリンチは行っています。
ハイテク株からも大化け株が出ることもあります。しかし、リンチは「外食・小売株はハイテク株と同じくらい速く成長することが可能であり、ハイテク株よりリスクは少ない」と言います。
ハイテク株は技術の変化が激しく、ライバル企業が新技術や新製品を開発すると、あっと言う間に売上が奪われてしまうことがあります。それに対して、外食・小売は、一夜にして全てがひっくり返されることはなく、時間をかけて徐々に売り上げを奪われていきます。そのため、その会社の競争力がなくなっても、状況をゆっくり見極めてながら投資判断ができます。
実際にリンチはハイテク分野は得意ではありませんでした。投資家によって得意な分野が異なります。フィッシャーは、ハイテク株や化学株、バフェットは、食品メーカー、日用品メーカー、飲食店、サービス業が得意です。自分にあった分野を選ぶことは、投資において非常に大切です。
「5つのチェック」で「2分間の訓練」を行う
リンチは「日常生活の中から気に入った会社を探した」後、更に絞り込むために5つのチェックを行います。
- 成長余地はどれくらいあるか
- ヒット商品が業績にどのくらい貢献するか
- 競走上の強みは何か
- 業績
- PER
この5つのポイントをチェックして、その株の成長ストーリーを2分程度でしゃべれるかを確認します。これを「2分間の訓練」と言っています。
この事で、次のような効果が得られます。
- 成功する確率が上がる
- 失敗が認識しやすくなり、損切処理がしやすくなる
- 成功や失敗の原因がつかみやすくなり、経験値が上がりやすい
いきなり、2分間で語ることは難しいです。メモに書いたりして、日頃から練習し、分析をすることが大切です。
※本書では、5つのポイントについて詳しく説明されていますので、興味のある方は、ぜひ読んでみてください。
「アマチュアの強み」を生かせ!
リンチは著書の中で「アマチュアの強み」という言葉を盛んに使います。
次のような理由から、プロよりアマチュアの方が株式投資に有利だと主張します。
- 日常生活の情報を生かした素朴な銘柄選択ができる
- 小型株を気兼ねなく買うことができる。
- 短期的な成果を問われないので、マイペースでできる。
プロの投資家は、知識・情報量・資金面では個人投資家より有利ですが、短期間で成果を求められたり、色々な制約があります。なかなか小型株に入れないからこそ、そこにアマチュアのチャンスがあるとリンチは考えています。
更にリンチは「5銘柄以上の大化けが狙える小型株に分散投資する」戦略を薦めています。信用取引をしない限り、一つの銘柄の最大損失は100%です。リンチも4割の銘柄は失敗していますが、残りの6割の銘柄が上手く大化けしているので、成功しています。
グレアムも5銘柄以上に分散投資することを薦めています。この分散投資というのも重要なポイントです。1点突破では、なかなか成功できないということですね。
今回は、ピーター・リンチの身近にある日常生活から10倍株を探す方法をご紹介しました。リンチの手法は、株式投資を始めたばかりの方や、株主優待狙いの方にオススメだと思います。株主優待を出している企業は、割と日常生活に密接な企業が多いです。欲しい株主優待を調べ、リンチの「5つのチェック」で絞り込み、分散投資をし、10倍株を狙う作戦が、まずは良いと思います。
次回は、『ウィリアム・オニールに学ぶ「急成長大化け株」はチャートと業績で狙え!』です。初めて「チャート分析」が登場します!!