「伝説の名投資家12人に学ぶ儲けの鉄則」から盛大にネタバレしない程度で、中身を紹介していきます。
前回までにグレアムの「割安株」投資法と、フィッシャーの「成長株」の探し方についてご紹介しました。
【第1章】ベンジャミン・グレアムに学ぶ「割安株」投資法 ~その1~
【第1章】ベンジャミン・グレアムに学ぶ「割安株」投資法 ~その2~
【第2章】フィリップ・フィッシャーに学ぶ「成長し続ける株」の探し方
今回は第3章、ウォーレン・バフェットに学ぶ「質の高い成長株」を見極めて買う方法です。
ウォーレン・バフェットってどんな人?
バフェットは、割安株投資のグレアムと成長株投資のフィッシャーという2大投資家の要素を最大に吸収し、現代の投資家として最大のパフォーマンスを上げました。
バフェットは、1929年のウォール街大暴落の翌年1930年に生まれました。少年の時から計算が得意で商売に興味を持ち、アルバイトや簡単な商売をしてお小遣いを稼いでいました。徐々に株式投資にも興味を持ち始め、10代の頃から株価チャートを研究し、アルバイトで貯めたお金で少しずつ投資をしていました。
19歳の時にグレアムの『賢明なる投資家』を読み、本格的に投資にのめりこんでいきます。
その後、直接グレアムに教えてもらうため、コロンビア大学のビジネススクールに入学します。卒業後は証券会社で仕事をした後、恩師グレアムの投資会社に入り、更に割安株投資のノウハウを深めていきます。
師匠を持つことは大切なんですね~~。タローはいないな・・・。
25歳で独立して、自身の投資会社を設立します。これが今のバークシャー・ハサウェイ社の原点です。
バフェットがすごいのは「ムラなく安定した投資ができる」点です。だいだい毎年平均30%のパフォーマンスを安定して出しています。運用資産が大きくなってからは流石にパフォーマンスも低下しましたが、それでも平均10%は維持しています。バークシャー社の50年間で運用成績がマイナスになったのは2回だけだそうです。あとは全てプラスです。
どんなに株式市場がひどい時でも安定して勝つことができます。バフェットは、市場の派手な動きに惑わされず、自分の投資法を一貫することで、安定したパフォーマンスを維持することができました。
割安株投資と成長株投資の融合
バフェットの手法を端的にまとめると、次の2点になります。
・今後何十年も安定成長を続けそうな超優良成長企業を見つける。
・適正価格よりも大幅に割安な株価で買う。
銘柄を選定する基準は、次の2点です。
・事業内容が分かりやすい。
・特権的な強みを持つ。
フィッシャーは、ハイテク株や化学株を好んで選びましたが、バフェットは、食品メーカー、日用品メーカー、飲食店、サービス業などの業種を選びました。
「事業内容が分かりやすさ」は投資家によって異なります。ただハイテク株や化学株は専門知識が必要だったり、技術の変化は激しいです。そういう意味でバフェットは一般消費者でも分かりやすい業種を選んだと言えます。
「特権的な強み」は、次の4点から判断します。
・新規参入が難しいか
・価格支配力があるか
・その強みに永続性があるか(何十年も続きそうか)
・需要の拡大余地があるか
「特権的な強み」はJTが良い例かなと思います。株価チャートはダメダメですが(^-^;
まず日本国内のたばこ販売はJTが独占しているので、他社の新規参入はあり得ませんし、たばこ価格も自由に決めることができます。日本国内のたばこの出荷数は減っていますが、喫煙者が完全にいなくなる事はないです。海外へも積極的に進出しているので、需要拡大も期待できます。
「特権的な強み」は基本的に定性的に判断しますが、財務的な数字からも判断することができます。バフェットの判断基準は、次の4点です。
・過去10年安定した成長を見せ、その間の利益は2倍増程度になっている。
・ROEは15%以上。
・売上高営業利益率は10%以上
・有利子負債は5年分の純利益で返済できる
10年で営業利益2倍というのは年率約7%の成長率になります。バフェットが投資した企業は、このくらいの成長率で、ROEは15%以上ものが多いです。
売上営業利益率は「営業利益÷売上高」で計算され、売上高の内、どれだけ営業利益が残るかを表します。これが高いほど、儲けやすいビジネスになります。
最後にバフェットは借金や社債などの有利子負債が多い会社を嫌います。借金が多いと、景気が悪化した際、資金繰りができずに経営が傾くリスクがあるからです。
借金をすることは悪いことではなく、事業を拡大・成長する際には必要です。
ただし外的要因で資金繰りが悪化するリスクもあるため、安定長期投資には向かないとバフェットは考えたのでしょう。
バフェットの買いと売りのタイミング
バフェットの投資の半分は「永久保有」で、もう半分は「数年程度の保有」というバランスです。本当に気に入った会社で、収益力の強さが半永久的に続くと考えれば、永久保有します。良い会社だけど永久保有するまでの自信がない場合は、割安ならば買って数年(早くて2年、長くて10年)で売却します。
永久保有銘柄はPER15~20倍、数年保有銘柄は10倍前後で買うことが多いです。PER20倍で買うケースは稀です。
基本的には株価が割安の時を狙って買います。ですが、どんなに安くても将来性が見通せない会社は買いません。
実際バフェット自身も失敗しています。バークシャー・ハサウェイ社は元は繊維メーカーで、1965年にバフェットが経営権を取得するまで株を購入しました。その当時、アメリカの繊維業界は斜陽産業で、バフェットも「このビジネスが有望でないことは分かっていた」と言っています。なんとか立て直せるだろうと考えていましたが、結局、赤字は拡大し、繊維ビジネスから撤退しました。その後、投資会社に方針転換し、今のバークシャー・ハサウェイ社になったわけです。
バフェットの売りのタイミングは、
・PERで割安感がなくなる
・成長性に影が出てくる
場合に売却します。
また資金全体の管理として、ある程度の現金は所有しています。相場や景気の状況によって比率を変えることもありますが、基本的には、魅力がある株がどれだけあるかに応じて現金の比率を変えます。
それに加えて、次の3つの場合にも現金比率を上げます。
・市場平均PERが20倍程度になる
・株式市場の時価総額がGDPを超える
・中央銀行が利上げをし始める
以上、バフェットの「割安&成長株投資法」をご紹介しました。
実際の本には、バフェット流・業種別攻略法が詳しく書かれています。興味のある方は、ぜひ読んで見てください!!
グレアム、フィッシャー、バフェットに共通するのは「中長期投資」である点です。
ただ、なかなか我慢強く待てない方もいると思います。
そこで次回は、ピーターリンチに学ぶ「身近にある10倍株」の探し方をご紹介します!!
>NEXT【第4章】ピーター・リンチに学ぶ「身近にある10倍株」の探し方